積ん読崩しの日々

ミステリ・SF・ホラーを中心に

外国の作家

アンソニー・ホロヴィッツ『死はすぐそばに』(創元推理文庫)

テムズ川沿いにあるリヴァービュー・クロースは、塀と門で仕切られた高級住宅地で、そこには6軒の家があり、各住人たちは仲良く平和に暮らしていた。ケンワージー一家がやってくるまでは。一家は隣人トラブルが絶えず、ついにジャイルズ・ケンワージーが何者…

ジェローム・ルブリ『魔王の島』(文春文庫)

先月ルブリの新刊が翻訳され、ネタバレ厳禁の前作を早く片付けなければと思い『魔王の島』をようやく読了。刊行当時、面白かった!と絶賛する人もいれば、ミステリとして破綻しており、これをミステリというのは許せん!的な意見も見られたので相当気になっ…

ペトロニーユ・ロスタニャ『あんたを殺したかった』(ハーパーBOOKS)

警察署にやってきた24歳のローラは、「レイプされそうになったから殺した」と正当防衛ながら殺人を犯し、さらに男の死体を燃やしたと自白する。この証言を基にヴェルサイユ警察のドゥギール警視は現場に赴き調べるが、死体どころか犯罪の形跡すらみつからない…

アンソニー・ホロヴィッツ『ナイフをひねれば』(創元推理文庫)

ミステリランキングの時期になると、アンソニー・ホロヴィッツの新刊が出るのがここ数年の恒例になりつつある。今年も『死はすぐそばに』が刊行され、そちらを読めればよいのだが、遅読ゆえ前作を読んでいなかった。そんなわけで慌てて『ナイフをひねれば』…

J・J・ファージョン『すべては〈十七〉に始まった』(論創海外ミステリ)

★日曜から喉が痛み始め、翌日に37℃後半の発熱があったので「これはコロナか?」と不安になり検査をしたが結果は陰性。火曜は一日休み、水曜は日帰り出張を何とかこなしたが、家に帰りダウン。今日は少し回復したが念のため休む。30越えて風邪をひいたのは初…

リース・ボウエン『貧乏お嬢さま、メイドになる』(コージーブックス)

たまにコージーミステリーを読みたくなる。今回は〈英国王妃の事件ファイル〉シリーズの第1巻。日本でも現在17巻まで翻訳されている人気シリーズとなっている。 コージーミステリーの中でも上位に来る面白さ。主人公が短絡的に行動することで状況が悪くなり…

サミュエル・アウグスト・ドゥーセ『スミルノ博士の日記』(中公文庫)

ドゥーセの『スミルノ博士の日記』を読了。かつて『世界推理小説大系』(東都書房)の第5巻として出たものを復刊、文庫化したものであるが、単なる復刊ではなく、当時の翻訳の底本として使われたドイツ語版と原書のスウェーデン語版を比較し、原書から省略され…

アンデシュ・デ・ラ・モッツ『山の王 (上・下)』(扶桑社ミステリー)

アンデシュ・デ・ラ・モッツの『山の王』を読了。北欧の警察小説は何作か読んできたが、上下巻にもかかわらずトップクラスの読みやすさであった。主人公のアスカーや犯人(山の王)を含め、何人かの視点でストーリーが展開する。主人公視点では警察小説の、犯…

ローレンス・ブロック『エイレングラフ弁護士の事件簿』(文春文庫)

先月出たばかりのローレンス・ブロックの短篇集『エイレングラフ弁護士の事件簿』を読む。 どんな被告人も無罪にしてしまうエイレングラフ弁護士が活躍する短篇集。どんな被告人も、ということはつまりそれが真犯人であろうとも、ということだ。 軽やかな読…