アンデシュ・デ・ラ・モッツの『山の王』を読了。北欧の警察小説は何作か読んできたが、上下巻にもかかわらずトップクラスの読みやすさであった。主人公のアスカーや犯人(山の王)を含め、何人かの視点でストーリーが展開する。主人公視点では警察小説の、犯人や被害者女性の視点からだとサイコスリラーの興味が掻き立てられる。
ひとつ変わってるなと思ったのは、主人公は序盤で昇格という名の左遷をされ、問題児刑事たちのチームに加わるのだが、チームで協力し合って事件を解決し、他の刑事たちを見返すといった展開がよくあるパターンだろう。しかし本書は違う。アスカーに頼まれてたまに協力することはあるものの、基本的には仕事らしい仕事はせず、どこか謎めいているし活躍する場面も乏しい。本書はシリーズものなので今後彼らの活躍が見られるかもしれない。楽しみだ。